「SpursEngineでブルーレイ映像のための高画質化を達成できた」

「SpursEngineでブルーレイ映像のための高画質化を達成できた」

インタビュー:トムソン・カノープス社・企画マーケティング部主任 久木海(ひさきわたる)氏

図1 H.264/MPEG2コーデックアクセラレータ「FIRECODER Blu」のパッケージ H.264/MPEG2コーデックアクセラレータ「FIRECODER Blu」のパッケージ
図2 「FIRECODER Blu」のデモンストレーション 「FIRECODER Blu」のデモンストレーション
図3 トムソン・カノープス社・企画マーケティング部主任 久木海氏(Inter BEE 2008同社ブースにて) トムソン・カノープス社・企画マーケティング部主任 久木海氏(Inter BEE 2008同社ブースにて)
図4 放送局向けのAVC-Intra コーデックアクセラレータ「FIRIECODER Intra」 放送局向けのAVC-Intra コーデックアクセラレータ「FIRIECODER Intra」

 映像編集機器、コンピュータ周辺機器メーカーのトムソン・カノープスは、放送や映像製作関連機器の展示会「Inter BEE 2008」に出展、今月21日より発売を開始したH.264/MPEG2コーデックアクセラレータ「FIRECODER Blu」を展示した(図1、図2)。

 FIRECODER Bluは、Cell/B.E.を元に東芝が開発したメディアストリーミングプロセサ「SpursEngine」を搭載しており、高画質かつ手軽なBlu-rayオーサリングを現実のものとするHD映像処理ソリューションとして注目を集めている。

 Inter BEEのトムソン・カノープス社ブースでもFIRECODER Bluと「EDIUS Pro」のデモンストレーションでは多くの来場者から良好な感触を得たという。同社企画マーケティング部主任の久木海氏(図3)に FIRECODER Bluの特徴や今後の事業展開について聞いた。

問 カノープス社には同様のボードとして「FIRECODER Intra」もありますが、FIRECODER Blu はどのようなユーザに向けた製品ですか?

答 FIRECODER Intra(図4)は放送局向け、FIRECODER Bluは一般の映像制作事業者、プロシューマなどの方向けの製品です。FIRECODER Intra のH.264ではフレーム内圧縮が用いられており、主に民生用のAVCHDとは動画のフォーマットが異なります。

 FIRECODER Bluのお客様には、例えば結婚式ビデオの撮影をされるウェディング・ビデオグラファーの方などが含まれるかと思います。現在、ブルーレイ・ディスク(BD)プレイヤーやAVCHDビデオカメラがかなり普及してきたため、結婚式ビデオなどでも消費者がハイビジョンやブルーレイでのビデオ制作を求めるようになってきました。したがって、結婚式ビデオなどの制作業者さんでもブルーレイ対応が急務であり、FIRECODER Bluによる高速エンコードやブルーレイ・ディスク作成のソリューションが最適ではないかと考えています。

問 FIRECODER Bluに同梱の「FIRECODER WRITER」はどのようなソフトウェアですか?

答 FIRECODER WRITERは、DVDやブルーレイ・ディスク作成用のライティング(ディスク・メディアへの書き込み)およびファイルコンバート(トランスコード)・ソフトウェアです。 ライティング機能では、ファイル焼きこみに加えてチャプター作成も可能で、パラパラ感の出る24p映像に対応しているのもFIRECODER WRITERの特徴です。60iと24pまたは50iと24pといった形式の混在も可能です。

 ファイルコンバート機能については、アップコンバートとダウンコンバートの両方が可能です。アップコンバートには超解像技術を利用して、標準画質を鮮鋭なハイビジョン相当の高画質にしてブルーレイ・ディスクに保存することができます。

 ここでのキーワードは「倍速」ということで、MPEG2のファイルを倍速でH.264形式に変換、圧縮してアーカイブすることが可能可能です。m2ts 形式ですから、ブルーレイ・プレーヤーやプレイステーション3(PS3)で再生ができます。

 また、BDならこれまでDVDでメディアの容量が足りず切り捨てていたような映像もすべて保存することができます。次世代DVD技術の規格競争が終わり、ブルーレイに一本化されたため、BDの市場が急速に立ち上がっていることが大きいです。BDメディアも価格が急速に安くなりつつあります。

 インテル社の最新CPU、Core i7 もハイビジョンをパソコンで再生するのに十分なスペックとなっていますので、見る方の環境が整ってきました。ただし、ハイビジョン編集などでのH.264エンコードはCore i7でも厳しいので、そこでSpursEngineが活かせると考えています。

 なお、SpursEngine搭載製品でブルーレイ認証を取得したのは、当社が初めてではないかと思います。

問 EDIUSやAVCHDコンバータなど御社の既存アプリケーションでの対応状況はどうですか?

答 EDIUS Pro では、2009年の上半期中にFIRECODER Blu 対応を予定しています。また、カノープスAVCHDコンバータでもFIRECODER Blu 対応を検討中ですが、こちらの対応時期は未定です。ただ、できるだけ早く対応したいと考えています。

問 EDIUS には、プロ向けの EDIUS Proと同時にエントリー・レベルの「EDIUS Neo」などもありますが、それらで FIRECODER Blu対応をする予定はありますか?

答 EDIUS NeoなどでのFIRECODER Blu対応は今のところ未定ですが、技術的にはまったく問題ありません。お客様のニーズがあれば、FIRECODER Blu対応も検討したいと思います。

問 EDIUS Proでは、GPGPU技術による映像処理機能を搭載していますが、SpursEngine との機能の分担はどのようになりますか?

答 パソコンでのエフェクト処理はCPUに高負荷なものですので、EDIUS Pro ではGPUを活用した「GPUFx」でエフェクト処理を行っています。GPUFxではマイクロソフト社の「Direct3D」のピクセルシェーダ・ライブラリを使用しています。

 ただ、EDIUS ProでのH.264エンコードにはGPUを使っていません。その理由は、ハードウェア・ベンダ間でライブラリが統一されておらず、画質もバラバラだからです。当社としては、特定のプラットフォーム依存は好ましくなく、色々なプラットフォームでユーザ様に使って頂きたいと考えています。

 H.264のエンコードに関しては、FIRECODER Bluに搭載したSpursEngineで高画質が達成できました。EDIUS Pro でも基本的な対応部分については開発が完了していますので、既にお話ししましたように製品版としての対応を来年前半に行う予定です。

 FIRECODER Bluの開発では、東芝セミコンダクター社との協力によってブルーレイのH.264やMPEG2など、高画質である一方で処理が重いと言われてきたBlu-rayのコーデックを身近なものにすることができました。FIRECODER Bluは既に店頭に並んでいるかと思われますので、是非多くのユーザ様にお使い頂き、高画質なブルーレイ映像を実感して頂きたいと考えています。

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