「今後のパソコン、超解像技術やビデオ・インデキシング技術が重要に」

「今後のパソコン、超解像技術やビデオ・インデキシング技術が重要に」

インタビュー:Corel TW Corp.のDigital Media Management Group Product Management Senior ManagerのWen-Chien Liu氏

Corel TW Corp.のDigital Media Management
Group Product Management Senior Managerの
Wen-Chien Liu氏 Corel TW Corp.のDigital Media Management Group Product Management Senior ManagerのWen-Chien Liu氏

 デジタル・テレビの普及によって、「今後のパソコン、超解像技術やビデオ・インデキシング技術が極めて重要になります」。こう語るのはパソコン向けビデオ編集ソフトの有力ベンダーである台湾Corel TW Corp. のDigital Media Management Group Product Management Senior Manager、Wen-Chien Liu氏である。Corel社は、2006年、デジタル・メディア・プレーヤーの大手InterVideo,Inc.とデジタル・イメージ、ビデオ編集、記録市場の最大手Ulead社を合併した。この一連の買収によってCorel社は、フォト編集からビデオ編集、オーサリング・ソフト、DVD再生ソフトまで提供可能なソフト・ベンダーとなっただけでなく、さらにデジタル・マルチメディア高画質製品の完全なソリューションを提供できる会社となった。Corel社は映像、生産力、デジタル・ビデオ・ソフトのトップベンダーであり、全世界で10本の指に入るパッケージ・ソフト生産メーカーである。製品の販売は全世界75カ国に及び、1億人以上のユーザーがいる。本社があるカナダを始め、米国、ドイツ、日本、台湾、英国など全世界に拠点がある。Corel TW Corp. のDigital Media Management Groupを率いるWen-Chien Liu氏に、今後のビデオ編集ソフトの動向や課題について聞いた。(宮崎信行=テクノアソシエーツ)

 問 Corelは2006年にInterVideoとUleadを買収しました。Corelは、なぜこの2社を買収したのでしょうか。

図1 Corelの主力商品の一つ統合グラフィックスソフト「CorelDRAW Graphics Suite X3」
Corelの主力商品の一つ統合グラフィックスソフト「CorelDRAW Graphics Suite X3」
図2 Uleadの代表的なビデオ編集ソフト「Ulead VideoStudio 11 Plus」
Uleadの代表的なビデオ編集ソフト「Ulead VideoStudio 11 Plus」

 答 Corelはカナダの企業です。グラフィックス関連のソフトからスタートしています。最も有名な製品は「CorelDRAW」(図1)です。

 Corelは、ビデオ編集の世界が極めて重要であると考えています。現在、デジタル・テレビやデジタル・ビデオ・カメラなどで、HD(High Definition)化が急速に進んでいます。市場では、HDビデオ編集向けのソリューションが望まれています。Corelは、どういった企業を買収すれば、その分野で強いポジションを築けるか考えてきました。そうした視点から、InterVideoとUleadを買収したのです。

 InterVideoは、DVDソフトにベースを置いており、同分野ではナンバーワン・プレーヤです。優れた技術を保有していると同時に、高い市場シェアを持っています。一方、Uleadは、ビデオ編集ソフトやオーサリング・ソフトを開発・販売しています。例えばビデオ編集ソフト「VideoStudio」(図2)は、日本でも有名です。

 Corelは、InterVideoとUleadが持つ製品・技術を融合することによって、フォト編集からビデオ編集、オーサリング・ソフト、DVD再生ソフトまでのトータルなソリューションをユーザーに提供できるようになりました。

問 Corelの年間売上高はどのくらいですか。

答 Corelはアジア・パシフィック市場に非常に期待しています。2008年のアジア・パシフィック市場の利益が最高になるでしょう。全体の営業収益も10%成長を見込んでいます。Corelの今年の営業収益は2.5億米ドル(約80億元)でした。同期成長率36%もさることながら、アジア・パシフィックの営業収益の比率は1%以下から21%にまで成長しました。

問 OEM品と市販品の比率はどの程度でしょうか。

答 OEM品と市販品の比率は製品によって違います。

問 ビデオ編集分野での市場シェアはどの程度あるのでしょうか。

答 ビデオ編集分野での市場シェア、特に、日本でのシェアはBCNランキングによると50%以上あります。オーサリング・ソフトでも50%以上のシェアがあります。

問 現在、どのような製品の開発に注力していますか。

答 現在、最も注力している製品はHD関連の映像、音楽製品です。その方向性は市場トレンドにも合っています。具体的には、ビデオ編集ソフト、オーサリング・ソフト、DVD再生ソフトなどです。これらの製品は、Corelにとって極めて重要な製品です。


「HDビデオの編集やレンダリングに時間がかかり過ぎます」

問 日本の「CEATEC JAPAN 2007」で東芝が、「SpursEngin」搭載のパソコンを使ってSD画質の映像をHD画質に変換する超解像技術や、録画する映像を場面ごとにインデキシングする技術を発表しました。こうした技術についてどう思われますか。

答 超解像技術やビデオ・インデキシング技術は極めて重要です。AVCHD規格によるHDビデオは、いままさに立ち上がろうとしています。しかし、多くのユーザーが持っているのはSD画質のビデオ・コンテンツです。その一方で、それらのコンテンツを映すデジタル・テレビはフルHD化が進んでいます。ビデオの録画・再生機もPS3や安価なHD-DVDプレーヤなどが登場してきています。

 こうした市場の変化によって、超解像技術などが極めて重要になっています。この技術を使えば、ユーザーはビオデ・カメラで撮ったSD映像を高画質化したうえで、フルHD対応のテレビで見ることができるようになるからです。

問 HDビデオ編集には、どのような課題があるのでしょうか。

答 私は、ソフトウェアの観点から次の二つのことが重要であると考えています。一つは、ビデオ再生時間です。HDビデオの編集時に、ビデオ再生に時間をかけたくないということです。例えばユーザーが撮影したビデオ映像にタイトルを挿入するような場合、ユーザーは直ちにその結果を見たいと思うでしょう。その結果を見るのに、時間がかかっていては問題です。

 もう一つは、レンダリング時間です。ユーザーが編集したビデオの最終結果を短時間で出力する必要があります。この二点が、ユーザーの視点から極めて重要であると考えています。

 しかし現状は、HDビデオの編集やレンダリングに時間がかかり過ぎます。エンコード時間は、リアルタイム、すなわちビデオの再生時間と同じか、むしろ短くなければなりません。それが、ビデオ編集を普及させるための重要なカギとなります。

 この点からSpursEngineはHDビデオ編集に対する一つのソリューションだと思います。ただし、現状では、すべてのパソコンにSpursEngineが実装されるわけではないでしょう。

問 最近、GPUメーカーがGPUにビデオのデコード機能を実装しています。このような動きをどのように見ておられますか。

答 GPUは、多くは3次元グラフィックス処理専用のプロセサであり、主にゲーム用途に使われます。われわれにとって興味深いのは、GPUメーカーが最近H.264デコード機能(HD画質)の処理能力を強化し、高画質映像の再生要求にこたえようとしている点です。

問 パソコン・ユーザーの何%がビデオ編集を行いますか。

答 弊社の調査によれば、パソコンでビデオを扱うのは、パソコン・ユーザーの50%程度でしょう。これらの人々はビデオを撮影した後、データをパソコンに保存しますが、その際に簡単な処理をします。例えば、不必要な部分をカットしたり、さらに編集をすることもあります。「YouTube」の盛況振りを見れば、このトレンドが裏づけられます。

問 ビデオ編集という点で、最も進んでいるのはどこの国ですか。

答 明らかに日本です。二番目はドイツではないでしょうか。ビデオ編集という観点からドイツは非常に重要だと考えています。

 ビデオ編集には時間がかかります。現状では待ち時間が多いのです。それに耐えられる忍耐力が必要です。

問 台湾でのHDビデオはどの程度普及していますか。

答 台湾では、ディーラがHD DVDとBlu-ray機の販促を開始したところです。レンタル・ビデオ店もBlu-ray Discのレンタルを開始しました。

問 ビデオ編集ソフト・ベンダーの立場から見て、次世代のパソコンにはどのような機能が必要になりますか。

答 次世代のパソコンにとって重要なのは、第一にビデオ編集やオーサリング・ソフトを含む付属ソフトです。パソコン・メーカーが競合他社と差異化するため、付属ソフトが重要になってきます。第二に、HD-DVDやBlu-ray Discへの書き込み機能の搭載です。このほか、ネットワークのデータ転送能力が重要になります。今後、複数のパソコンを高速なネットワークで相互に接続する必要性が高まるからです。

問 台湾は過去に、世界有数のパソコン産業や半導体産業、液晶産業を立ち上げてきました。今後の台湾では、どのような産業が重要となりますか。

答 台湾には、マザーボード・メーカーやLCDメーカーなど、競争力のあるハードウェア・メーカーが多数存在しています。TSMCのような半導体メーカーもそうしたうちの1社です。そうした状況にある台湾に、今後望まれるのは、ソフトウェアも含むコンテンツ・クリエーション企業であると考えます。


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