HD Processing FORUMは、2008年3月19日に台湾・台北の台北国際会議センター(TICC)で「パソコンと情報家電で加速するHD化: グローバル市場と技術の動向」と題するカンファレンスを開催した。今回は、開演時の所見とパネルディスカッションの模様をレポートする。(関連記事: HD Processing FORUM: Conference − Spring 2008 レポート(1))

カンファレンス開演にあたっての所見として、株式会社テクノアソシエーツ・代表取締役社長の高野一郎氏がHD化の市場トレンドについて述べ、日本の消費者が最も要求が厳しくHDリテラシーに関して最も進んでいると指摘した(図1)。
実際、フルHDのテレビやブルーレイ・ディスク・レコーダ、AVCHDビデオカメラなど、ほとんどのHD関連製品は日本で開発されている。これらのHD化におけるトレンドを受け、高野氏は台湾の電子機器メーカーは日本企業ともっと協業することが良いのではないかと提言した。
4つの講演の後、パネルディスカッション「パソコンと情報家電で加速するHD化:技術および市場動向」(原題:"HD Driving PC & Digital Media: Technology & Market Trend")が行われた(図2)。
パネリストは、講演者であったIII・MICの周氏、東芝セミコンダクター社の増渕氏、リードテック社の劉氏、さらにHD Processing Forumメンバー企業である Corel Taiwan社(以下、コーレル)のデジタルメディアマネジメントグループ・シニアマネージャーの劉文謙氏(Dr. Wen-Chien Liu)、および台湾・CyberLink社(以下、サイバーリンク)のR&D部門・コアテクノロジー部のディレクター黄鶴超(Dr. Jet Huang)氏の2名を加えた5名で、テクノアソシエーツの高野氏がモデレータを務めた。
まず、高野氏開演時の所見を補ってHD化の市場動向などに簡単に触れたあと、パネリストも交えての討論となった。パネルディスカッションのハイライトは、ソフトウェア・ベンダのコーレルおよびサイバーリンク両社のプレゼンテーションである。
まず、コーレルの劉文謙氏は、市場動向やそれに対応した製品プランを問われた際、パソコンにおけるHD処理、特にAVCHDやMPEG-4 AVC/H.264 規格に基づくHD動画編集アプリケーションの重要性を強調しつつ、同社のHD動画編集アプリケーション製品である「DVD MovieFactory」のデモンストレーションを披露した(図3)。
このデモでは、HD動画のレンダリング処理においてSpursEngine による高速コーデックを利用しており、HD動画レンダリングのプロセスを通常のパソコン上でソフトウェア・コーデック処理によって行う場合に比べて数倍〜10倍加速して実行できることを示した。(コーレル社が今回のデモで使用したパソコンは、一般的なミニタワー型パソコンにSpursEngineリファレンスボードを装備したもの。)
一方、もう一社のアプリケーション・ソフト・ベンダーであるサイバーリンク社は、SpursEngine による他の可能性について言及していた。HD処理に関する製品プランを問われ、サイバーリンクの黄鶴超氏は認識処理がHD動画処理における一つのカギになるとの見解を示した。具体的には、同社のアプリケーション・ソフト製品である「MagicSports」(スポーツ・エンターテインメント・ソフトウェア)、「MagicDirector」、「PowerDirector」(いずれも動画編集用ソフトウェア)を挙げ、同社としてSpursEngine による性能向上を検討していることを明らかにした。
黄氏は本セッション中のデモンストレーションは行わなかったが、サイバーリンク社としてカンファレンス会場でデモ展示を行っており、SpursEngine対応版のPowerDirectorを披露していた(図4)。
デモ展示を担当していた同社・スペシャリストのClaire Chang氏によれば、SpursEngine を使用した動画編集のレンダリング処理は、CPUが同じスペックの通常のパソコンより最低でも5倍は高速となるとのことである。(サイバーリンク社が今回デモに使用したパソコンにもSpursEngineリファレンスボードが装備されていた。)
(大場淳一=テクノアソシエーツ)