米DivX(ディビックス)社とカナダCorel社は、CorelのDVDコピーおよび動画変換ソフトウェアである「DVD Copy 6」が「DivX Ultra」認証を受けたことを13日に発表した(同社プレスリリース、英語原文)。パソコン用ソフトウェア製品でDivX Ultra認証を受けているのは、ペガシス社、米ソニック・ソリューションズ社についで3社目である。
なお、DivX社は、本発表とは別に同じ日付で「DivX Connected」と呼ぶ家庭向けコンテンツ・プラットフォームも日本で正式に発表している。 これらの動きから、DivX社がパソコンとリビング・ルーム(情報家電)という両面から、ハイビジョンにおける動画コーデックおよび記録形式技術でデファクト標準化を狙っていることがうかがえる。
DivXコーデックは、MPEG-2に比べて圧縮率が高いMPEG-4系の動画コーデック技術の一つであり、MPEG-4 AVC/H.264とは兄弟のような関係にある。H.264コーデックとDivXコーデックの大きな違いの一つは、H.264 が「Blu-ray」や「HD DVD」など大容量の次世代DVD向けで本命とされるのに対して、DivXが既存のDVDメディア向けやインターネット上の動画ストリーミングですでにかなり利用されていることだ。
次世代DVDの両陣営は主導権争いの最中であり、Blu-ray、HD DVDともまだ広く普及しているとは言えない。一方、DivXは既存のDVDプレーヤや情報家電で採用実績を着実に築きつつある。
リビングのハイビジョン・エンターテインメントと言えば、DVDプレーヤや地上波デジタル放送・テレビだけではなく次世代型の家庭用ゲーム機も忘れてはならない。
ソニー社製「PlayStation3」やマイクロソフト社製「Xbox 360」といった最新の家庭用ゲーム機では、CPUに「Cell/B.E.」など高性能なマルチコア・プロセサを採用しており、それぞれBlu-rayやHD DVDによるフルHD規格の動画再生も楽しめる。
最近、そのPlayStation3とXbox 360の両方でDivX技術への対応が発表された。これによって H.264ベースの Blu-ray や HD DVD だけでなく、DivX形式での動画再生もこれらのゲーム機で行えるようになる。
DivXは、電機メーカーや動画編集ソフトウェアなどのソフトウェア・ベンダーに対して認証を行い、DivXをサポートするパートナーの数を着々と増やして来た一方、 「Stage6」という高画質な動画共有サイトを運営している。(関連記事:YouTubeの高画質化が起爆剤となるか - パソコンHD化加速の可能性)
このようにオフラインとオンラインの両方でしたたかにユーザーの支持を勝ち取ってきた結果、日本やアジアの情報家電メーカーもDivX規格をサポートするケースが増えている。
次世代DVDの市場は、デファクト標準争いや地上波デジタル放送のコピーワンス制限などもあり、まだ大きく成長するに至っていない。このため、両陣営とも既存のDVDメディアにH.264コーデックで記録できる「AVCREC/AVCHD」(Blu-ray 陣営)や「HD Rec」(HD DVD 陣営)といった下位規格を打ち出し、自陣営の製品や技術のデファクト化に本腰を入れつつある。AVCRECやHD Recが、DivX技術と競合する局面が今後は増加するだろう。
現時点では、高画質な動画投稿サイトや既存DVDメディア機器の市場で比較的大きな支持を得ているDivXだが、来年以降、次世代DVDが本格的に普及し始めると予想される。今後、既存のDVDが次世代DVDに世代交代する際、DivX社がどのような戦略を展開するか、パソコンや情報家電のメーカーも留意すべきかもしれない。 (大場淳一=テクノアソシエーツ)