YouTubeが高品質なビデオストリーミングの提供を近々行うことが、同サイトの共同創業者であるSteve Chen氏によって先月中旬に明らかにされている。この動きは、動画共有サイト業界全体に起こりつつある高画質化の流れに沿ったものだ。これによって、HD動画をストレスなく編集加工したり、再生したりすることができるパソコンやネットワーク・プレーヤー等への需要が増加する可能性がある。
YouTubeが高画質ビデオストリーミングの提供を行う背景となっているのは、まず競合する動画共有サイトの増加、そしてそれらが提供する高画質なビデオストリーミングの提供であると考えられる。
例えば、米DivX社が2006年8月に開設した動画共有サイト Stage6 (図1)では、同社が開発・提供するDivXコーデックを活用したHD動画(フルHDにも対応)の投稿や共有、閲覧が可能であり、サイトの開設以来多くのユーザを獲得した。 また、国内の大手電機メーカーとしては初めて、ソニーが今年の4月に開設した動画共有サイト eyeVio(アイビオ、図2)でも、将来HDビデオストリーミングにも対応することを表明している。
今回明らかとなったYouTubeによる高品質ビデオストリーミングの提供は、YouTubeとの差異化を図るために後発の動画共有サイトが取り入れてきたHD動画サービスを、業界トップであるYouTube自体が導入するものであり、注目すべきトレンドであろう。
YouTubeがHDビデオストリーミングの提供を開始することで、動画共有サイト業界全体でHD動画化の流れが加速する可能性が出てきた。これにより、高画質ビデオストリーミングの再生や加工編集を行うパソコンやネットワーク・プレーヤーでも、HD化対応がさらに進むものと考えられる。
ここで言うHD対応とは、ディスプレイの解像度だけではない。HDビデオ・ストリーミングでは、MPEG-2よりも圧縮率の高いH.264コーデックやMPEG-4/ASPコーデック・アルゴリズムなど負荷の高い演算処理が必要となる。このため、より性能の高いCPUやGPU、あるいはコーデック専用チップなどによって、HDストリーミングのエンコードやデコードを行うことになる。
(関連記事:「押し寄せるフルHD化の波 -加工編集のカギ握る動画処理エンジン」)
近年、パソコンや情報家電の国内市場は伸びが鈍く、HD化の動きも今ひとつの感があったが、YouTubeが高画質化に舵を切ったことで、インターネット上からHD動画の普及に火がつき、HD関連機器の市場が一気に成長するかもしれない。
2008年が高画質なビデオストリーミングに対応したAVパソコンや周辺機器、情報家電のブレイク元年となるか、注目しておきたいところだ。
(大場淳一=テクノアソシエーツ)